► コンテスト
参加者の様子

参加者の様子

7月7日(日)
 成田からアトランタ12時間、アトランタからサンパウロ9時間、乗り継ぎの時間6時間あまり、合計27時間をかけて7月8日にようやくサンパウロに到着。RoBoCoNの札をもったサンパウロ大学のスタッフの出迎えを受ける。同時にフランス、韓国からの参加者も到着。
7月8日(月)
 早朝7時過ぎの到着、その後ホテルに移動。ホテルには9時過ぎに到着。チェックインは通常14時からということだったが、順次チェックインをしたが全員がチェクインできたのは12時過ぎ。その後、東工大の学生は市内に観光に行ったが、月曜は多くの観光施設が休みであまり見ることができなかった。電機大の学生は近くのショッピングモールで食事をした後、その後頻繁にお世話になるカルフールで買い物。
  7月9日(火)
 IDC2013の開会式。ホスト大学を代表してジルベルト教授からの歓迎の挨拶、その後競技テーマの説明。競技テーマは“Indiana Robot”。シンボルはなぜかインディージョーンズと同じ帽子をかぶった女性ヒューマノイドロボット。このロボットは、IDC2013の競技会が初日のイベントとして行われる日本・ブラジルフェスティバルのメインキャラクター・‘つるの恩返し’の‘つる’のヒューマノイドロボットとのこと。コンテストのフィールドはインディージョーンズが活躍した発掘現場を模擬したもので、中央の洞窟が特徴的。その脇には河のエリアがあり、チームエリアの中央には砂漠エリアもある。得点は、自分の陣地側にある、5つの信条、Knowledge(英知), Love(愛), Peace(平和), Faith(信頼), Health(健全), Feedom(自由)を表す5つのゴールにバランス良くオブジェクトを入れると高得点がもらえる。真っ暗な中央の洞窟には、地図に見立てた白色のボールが置かれており、それを取って河のボートに載せると相手の妨害が可能となる。地図が対岸につくと20点、岸に陸揚げできると更に30点がもらえる。砂漠エリアにはシルバーボールが埋まっており、このボールを自陣の信条ゴールに入れると、相手側の対応する信条ゴールの得点をキャンセルできる効果がある。
 今年の競技の特徴は、競技最初の20秒間は自律マシンでないと動いてはいけないこと。そのため、自律マシンには後述するArduinoとPACAを搭載し、カメラや各種センサを搭載可能。競技時間は全部で200秒。いかに早く‘地図’をボートに載せるかが鍵になりそうだ。
 その後、各チーム6人又は5人のチームメンバーの発表の後ワークショップへ移動。予め配られていたキットを受け取り、実際のフィールドを見て、マシンや戦術のブレーンストーミング開始。いよいよIDC2013の始まりだ。今年は、配られたキット以外に200レアルまで材料やセンサーなどを買い足すことができる。夕方は教室でWelcome partyが開催された。ロングなフランスパンのサンドイッチと、地元のスィートで親交を深めた。
7月10日(水)
 午前中は各班3人がArduino+PACA, Blue Tooth(以後BT)のプログラミングの講習。Arduinoはロボコンなど小規模なメカトロニクスシステムを作るための定番のマイクロコンピュータシステム。PACAはArduinoをマウントできる周辺回路ボード。PACAはDIOを8チャンネル、±12VのPWM信号2チャンネル持つボード。PACAはブラジルにいる小動物パカからその名前が来ていて、ブラジルの人には親近感がもてるようだ。講習では、BTを用いた文字通信、サーボモータ制御、PWMによるDCモータ制御、ボリューム電圧の読み込みなどを講習。言語はC++で、東工大生はC言語を習っている途中で、少し戸惑っていたが、電機大生は4年生なので、C言語やマイコン制御の講義を取得済で余裕のようだった。午後は全員ワークショップでの作業。いよいよロボット作り本番だ。
7月11日(木)
 午前中は各班残りのメンバーのArduino+PACAの講習。午後3時からは各班のアイデア・プレゼンテーション。オレンジチームはこの段階で1台のロボットの走行系を完成させ、ラジコンサーボによる操縦プログラムを作り走行練習をはじめた。動作はほぼ既に完璧で、さすがフランス大会で優秀な成績を修めた学生のプログラミングである。
  7月12日(金)
 全日ワークショップでの工作。
  7月13日(土)
 午前、午後に分かれて、Androidによるロボット制御のためのプログラミングの講習。Andoroidベースの携帯電話を持っていればそれを使ってロボットを操縦してもOKのためだ。使用言語はJava。東工大生、電機大生ともJavaは始めてなので相当戸惑っていた。また、Androidのアプリの構造であるMainActivityなどのクラスの説明もほとんどなく、最初は大変そうだったが、配られた資料が親切だったので、なんとか班としては課題をこなせていたようだった。
7月14日(日)
 半日のWorkshopの後、午後はOFF。東工大の学生たちはRepublic広場の露天市を見た後、サッカーを観戦。入場料は30レアル。リーズナブルな値段で、本場のサッカーを十分堪能できたようだ。電機大の学生はセにあるセントラルカトリック聖堂を見たりして過ごしたようだが、大学内やホテル周辺と違って治安が悪そうでびっくりしていた。
  7月15日(月)
 午前中はAndroid端末のカメラからリモートのパソコンに画像データを送るプログラムの講習。Zhou Changが開発したAndroidEye(https://gitbuh.com/Teaonly/android-eye)をモディファイしたもので、Webベースで簡単に操作できるシステムだ。各Android端末にWebサーバーを走らせて、リモートからはそこにWebブラウザでアクセスする形で非常に簡単に使うことができる。今回の講習は、各班のソフトウェア担当の人だけが参加で、日本からの参加の学生で講習に出ていた人は、電機大のハーシミン君と佐々木君だけで、東工大の学生はソフトを担当していないようだ。講習ではAndroid端末側での‘地図’(白ボール)の重心の計算が課題だった。
 午後のワークショップでは、多くのチームがボートでの‘地図’の運搬に成功するようになってきた。また、午前中に習ったAndroid端末での画像取り込みのチェックをして、洞窟内部の壁が白く反射して、‘地図’検出のしきい値の決定が難しいことを訴えていた。そのため、スタッフ側で洞窟内の反射を抑えるように黒紙を貼るなどの対処を行った。
7月16日(火)
 午前中は通常のワークショップ。午後は各班30分ずつ、マシン1、マシン2をどのように自動制御と手動制御を切り替えるか、電子回路やプログラムの作成状況はどうか、などについて説明してもらった。7割のチームはあまり問題を抱えていなかったが、残りの3割程度は問題を抱えていた。致命的なものは、バッテリーが数分で消耗してしまう、サーボモータを使うとマイコンのソフトが暴走してしまう、周辺回路ボードの抵抗が焼けてしまうというものもあった。(5枚のボードを焼いたようで、こちらのメインのサポート学生は、バッテリーを直接つながないと焼けるようなことはないはずなのに…,と嘆いていた。)また、配布されているAndroid端末(Nexsus 7)では大きすぎてマシンに搭載できないので、自分の携帯をマシンに搭載したいのだけどソフトのつくり方が分からないというのもあった。(自分の携帯の場合、ソフトのインストールの仕方を誤ると、二度と携帯として使えないので非常に注意が必要だ。)これらの問題は早急に解決しないとコンテストへの出場も危ぶまれるので、各国のインストラクターが直接問題解決に当たった。(写真にはインストラクターが学生に混じってワークショップで作業しているのがあるが、それはそのための作業。)あと、自動制御に本格的に取り組んでいるチームは2つくらいで、やはり画嬢処理プログラムにてこずっているようだった。
   後、インタビューの最後にはコンテストまでのスケジュールの周知がなされた。コンテストは19日であるが、18日の午前中はシーディングコンテストで、午後にはフィールドが大会会場に運ばれてしまうため、操縦練習は明日の17日しかないことが確認された。ほとんどのチームの学生は始めて認識したようで、さすがに焦っていた。ちなみに、16日と17日はワークショップが20時まで利用できるようになった。(通常は17時まで)
7月17日(水)
 本日は実質的には工作最終日。明日のシーディングコンテストに向けて、各チームともマシンの最終調整と操縦の練習をおこなっていた。洞窟内に入るために、LEDライトを搭載したり、Android携帯を搭載したりと、各チームともほぼ2台のロボットと1隻のボートを完成できることができたようだ。携帯を搭載したロボットがちょこまかと動く様子は非常に可愛らしい。昼間はソフトの最終調整をしていたため、ソフトを担当していない東工大や電機大の学生はやることがなさそうだったが、夕方に入ってコンテスト形式の練習が始まると、操縦の練習、マシンやフィールドの再セッティングをするのに生き生きとして作業をしていた。
 技術的には、PACAにサーボモータを接続して動作させるとArduinoがリブートされてしまうという問題があり、3チームほど困っていた。USPの先生が回路図を見直した結果、サーボモータのコネクターをDIOの右列に接続するとArduinoから電源を供給する仕様になっていて、サーボが大電流を要求するとArduinoがリブートされることが分かって問題が解決した。
7月18日(木)
 本日はシーディングコンテストの日で、それぞれのチームは単独で2回、制限時間内に何点得点できるかを披露した。半分ぐらいのチームは想定した動作がほぼ出来ていたが、ボートに地図(白玉)を乗せて対岸に運べていたのは、オレンジとレッドチームだけだった。ブルー、イェローなどは洞窟内での操縦に苦労していて、洞窟内でマシンをスタックさせてしまっていた。明日の本番までに操縦できるようになるかどうかが上位までいけるかどうかの鍵になりそうだ。
 コンテストの裏情報としては、USPの2世のバイオサイエスの渡辺教授という方にお会いした。この方が今回IDCをジャパンフェスティバルのイベントとして取り計らって頂いた方で、この方がいなかったらブラジルでのIDCの開催は難しかったようだ。明日はフェスティバル会場を案内してくださるとのことだった。フェスティバル会場は2万以上入る会場で、県連が企画したご当地料理を出すブースがあるなど、土曜日曜は大変な人出になるそうだ。コンテストのブースにも多くの人が来場してもらえるといいのだが。
7月19日(金)
   今日はついにコンテスト本番。ホテルを出て、大学でマシンを持ってバスでコンテスト会場へ移動。コンテスト会場は日本フェスティバルが行われている会場で、非常に大きなコンベンションセンター内の特設ブースだった。各国の入場行進の後、いよいよコンテストが始まった。最初は2つのリーグに分かれてのリーグ戦。それぞれのリーグから上位2チームが選ばれて、四つのチームによりトーナメントが行われる。それぞれのリーグから選ばれたのは多方の予想通り、オレンジ、レッド、グレイ、グリーンだった。準決勝はグリーンとレッド、オレンジとグレイだった。予想ではレッドとオレンジが勝ち進むと思われたが、番狂わせでオレンジにグレイが勝った。オレンジのマシン1の操縦ミスでほとんど得点ができなかったのが敗因だ。決勝はレッドとグレイとなったが、流石にレッドが実力を見せつけて優勝を果たした。いつものことながら、優勝の瞬間のレッドの表情は素晴らしかった。その後表彰式。優勝チームの芹沢君は新聞の取材を受けていた。
 表彰式の後はシュラスコレストランに移動してさよならパーティ。大きな肉をテーブルで切り分けてもらって、食べ放題の肉を心ゆくまで味わう。油断をするとテーブルの上にどんどん肉が溜まっていく。お腹が一段落したところで、恒例の各国からのパーフォーマンス。日本はプチ・コスプレ(東工大の1人は女装のコスプレ、若林さんは浴衣でサービス。顔にターバンみたいなものを巻いているのは忍者のつもり)とけん玉・折り紙のパーフォーマンス。海外からの学生にけん玉にトライしてもらって、なかなか盛り上がっていた。
   本日帰国するタイ、シンガポール、中国が22時前に空港に向かったが、その後も11時過ぎまでパーティは続いた。今年もロボコンによる国際親善の輪が大きく広がったと確信した。 モロッコのインストラクターと来年のIDCの成功を誓ってパーティは終了となった。